はじめに
小野上駅は吾妻線の駅です。旅客輸送上は単なる途中駅ですが、国鉄時代より構内に砕石輸送用の引き込み線が設けられており、主に高崎支社管内の線路のバラストで使用される砕石が発送されてきました。
駅は2面2線の配線で、南側にはかつての貨物扱いのための荷役線、北側に砕石線がありました。北側の砕石線は途中のホーム横のあたりに入換作業のための袋線があり、その先で本線と離れた先に砕石の荷役線がありました。
砕石線に入るのは、いわゆる「工臨」とよばれる工事列車で、砕石輸送のためのホキ800形貨車を機関車が牽引するものでした(砕石線は一部が電化されていましたが、ここに入線する工臨はDD51形などのディーゼル機関車が牽引するのが通例でした)。砕石線は駅の小野上温泉方から分岐していたことから出入りの際に小野上温泉方の本線へ引き上げる入換作業が必要だったようです。
このように工事列車は長らく機関車が貨車を牽引する形態で行われてきましたが、JR東日本では事業用機関車の全廃を受け、砕石輸送兼車両牽引用の事業用気動車であるGV-E197系を製造しました。小野上駅からの砕石の発送も2021年頃からGV-E197系に切り替わり、このまま引き続き鉄道車両による砕石輸送が続いていくものと思われました。