【悲報】只見線只見駅で交換設備廃止か

【悲報】只見線只見駅で交換設備廃止か

はじめに

只見線は小出駅と会津若松駅を結ぶ路線で、1971年に全通しました。開業当初から旅客輸送量が低調なローカル線ではありましたが、大白川~只見間の「六十里越」の区間で並行する道路が冬季に通行止めとなることから特定地方交通線として廃止されるのを免れ、現在に至ります。2022年時点での全区間の輸送密度は257人/日となっています。

2011年7月の新潟・福島豪雨では橋梁の流失など多数の被害により一部区間が長期不通となりましたが、復旧費用90億円のうち60億円を沿線自治体や国などが負担し、さらに福島県が鉄道施設を保有する上下分離方式とすることで2022年10月に運転再開が実現しました。

復旧工事で建設された第六只見川橋梁
復旧工事で建設された第六只見川橋梁

この只見線で2023年12月1日、只見駅の一部信号機が使用停止されたことが確認されました。

JR東日本を含む鉄道各社では、経費節減や労働力不足への対応のため不要な設備の撤去をすすめています。JR東日本管内でも2022年度は釜石線岩手上郷駅が棒線化されたほか、2023年度に入ってからは水戸線福原駅が棒線化、さらに花輪線松尾八幡平駅で交換設備が使用停止されています。只見駅もこれに続く動きと思われます。

只見町議会だよりで公表された設備改修計画

只見駅に停車中の普通列車(2023年6月撮影)
只見駅に停車中の普通列車(2023年6月撮影)

只見線では始終着駅のほかに大白川駅、只見駅、会津川口駅、会津宮下駅、会津坂下駅、西若松駅の6駅に交換設備がありました。只見駅をのぞく各駅では定期列車の列車交換があったものの、只見駅は1面2線の配線であるにもかかわらず定期の列車交換が設定されていない状態でした。一方で、秋の行楽シーズンには小出~只見間と只見~会津若松間の臨時列車が只見駅で接続し、島式ホームを利用して対面乗り換えする光景も見られました。

只見線配線略図(2023年6月現在・抜粋)
只見線配線略図(2023年6月現在・抜粋)

そんな只見駅の改修計画が明らかになったのは2023年7月発行の只見町議会だよりでした。

「『只見駅一部設備改修』を提示」と題された記事によれば、JR東日本から自治体に下記のようなことが説明されたとのことです。

  • 「只見駅一部設備改修」説明内容
    1. 只見駅の下り本線一部改修案
    2. 下り本線上下出発場内信号機撤去・分岐器撤去・常時鎖錠分岐器化
  • 設備改修の理由
    1. 器機設備の故障、雪の介在等による輸送障害低減。
    2. 特殊設備を減らすことにより安全性向上、施設管理、保守に関わる維持費低減・労働環境改善。
  • 設備改修(案)により出された問題点
    1. 只見駅での列車交差ができなくなるのでは無いか(作者注:原文ママ)。
    2. SL、DL車両の入れ替え(作者注:原文ママ)ができなくなる。
    3. 緊急時の対応能力の低下。
    4. 除雪車両・保守車両の運行に支障、将来的には人員削減につながり、無人駅となってしまう可能性がある。
只見町議会だよりより

記事の内容によれば、下り本線での列車の発着が廃止され、上り本線のみに上下の列車が発着する計画があるとのことです。ここでの「下り」は会津若松→小出の方向を意味するので、島式ホームの駅舎側の線路(配線略図では下側)となります。秋の行楽シーズンに行われていた臨時列車の対面乗り換えは不可能となることになります。

ただし、記事では上り本線の場内・出発信号機の撤去は読み取れず、また分岐器も一部残ることが分かります。「常時鎖錠分岐器化」とありますので、横取装置に改修されるのでもないようです。このことから、只見駅上り本線には信号機が引き続き残り、同駅は閉塞の境界としての機能を引き続き果たすことが予想されます。

只見駅で信号機が使用停止に

只見駅の分岐器と駅舎(2023年6月撮影)
只見駅の分岐器と駅舎(2023年6月撮影)

2023年12月に入り、只見駅で出発信号機の一部が使用停止されたことが確認されました。

Xに投稿された写真からは同駅の下り本線の大白川方面の出発信号機が横向きにされ、使用停止されていることが確認できます。冬季に信号機や線路が一時的に使用停止されること自体は豪雪地帯では珍しくありませんが、上記記事の記載内容とあわせると、下り本線にかかわる場内・出発信号機が廃止され、今後信号設備の撤去や分岐器の改修が行われるものと思われます。

なお、写真からは上り本線の信号機は使用停止されていないことも分かります。もしこのまま上り本線の信号機が撤去されず只見駅が閉塞区間の境界となりつづけた場合は、来期以降も只見駅発着の臨時列車の運行が可能となる可能性があります。

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