運転取扱基準規程(昭和39年12月15日運達第33号)
最終改正:昭和47年3月11日運達第27号
第5章 事故の処置
第1節 総則
- (停379)
- 踏26
- 列239
- 動310
- 誘114
- 検44
- 施99
- 雪104
(列車防護の方法)
第467条 列車防護の方法は、支障箇所の外方200m以上を隔てた地点に携帯用信号炎管による停止信号を現示し、更にその外方600m以上を隔てた地点に信号雷管を装置するものとする。
- (停380)
- 踏27
- 列240
- 動311
- 誘115
- 検45
- 施100
- 雪105
(列車防護による停止手配)
第468条 列車又は線路に故障を生じたため、関係列車を急きよ停止させる必要のあるときは、すみやかに列車防護を行なわなければならない。
2 前項の列車防護を行なうときは、携帯用信号炎管による停止信号を現示しながら走行しなければならない。
- (停381)
- 踏28
- 列241
- 動312
- 誘116
- 検46
- 施101
- 雪106
(緊急停止の手配)
第469条 前条に規定する列車防護を行なう場合は、これに先き立つて、信号炎管又は防護無線による停止信号を現示するか若しくは防護スイツチ等を使用して軌道回路の短絡を行ない信号機に停止信号を現示する等緊急停止の手配を行なうものとする。この場合、進行中の列車にあつては、機関士及び車掌は、車両用信号炎管又は防護無線による停止信号を現示するものとする。
- 列242
- 動313
- 雪107
(特殊信号による停止手配)
第470条 機関士は、列車を運転している途中で信号雷管、信号炎管又は防護無線等による停止信号の現示を認めたときは、それが自己の列車に対するものであると否とにかかわらず、すぺて自己の列車に対する停止信号として、停止手配をとらなければならない。
第2節 列車の事故
- 列243
- 動314
(不時の退行列車の取扱い)
第471条 機関士は、列車又は線路の故障により、停車場間の途中から列車を退行させるときは、ときどき短急気笛数声の合図を行ない、列車を運転しなければならない。
2 故障のために停車場間の途中から退行してきた列車が後方停車場に接近したときは、いつたん停止して、その旨を駅長に通告した後、相当の信号現示により進入しなければならない。ただし、あらかじめ相当信号を現示する旨の通告を受けたときは、いつたん停止することなく進入することができる。
- 列244
(自動区間の後続列車に対する停止信号)
第472条 自動閉そく式により運転している列車が停車場間の途中に停止した場合で、次の各号の1に該当するときは、車掌は、後続列車に対して信号炎管による停止信号を現示しなければならない。
- (1) 機関士から列車防護を促すときの気笛合図のあつたとき
- (2) 列車の一部を遺留するとき
- (3) 列車が脱線、転覆等をしたとき
- 列245
- 動315
(通票、通券等を受け取らないで運転したときの列車の防護)
第473条 通票又は通券を受け取らなかつたこと又は指導者の乗り込まなかつたことに気付いて列車を停止したときは、機関士は、車掌と打ち合わせたうえ、列車防護を行なわなければならない。
- 列246
- 動316
(隣接線路を支障したときの列車防護の担当者)
第474条 列車の脱線、転覆等のため、隣接線路を支障したときの列車防護の担当者は、次の各号に定めるとおりとする。
- (1) 機関士のいる方向に対しては、機関士。ただし、機関士が指示したときは、機関助士
- (2) 車掌のいる方向に対しては、車掌
2 前項の規定にかかわらず、隣接線路の運転方向、支障状況等により、自己の担当する方向の列車防護を省略してもよいと認められるときは、その箇所に信号炎管による停止信号を現示した後、必要により反対方向の列車防護を担当するものとする。
- 動317
(車掌の乗務していない列車の防護)
第475条 前2条に規定する場合、車掌の乗務していない列車であるときは、機関士は、機関助士等に指示して、車掌の行なうべき列車防護を行なわせなければならない。
- 停382
- 列247
- 動318
(救援列車に対する防護)
第476条 故障のため停止した列車若しくは遺留した車両のある停車場間に救援列車を運転するとき又は線路の応急修理等のため運転した工事列車のある区間に更に他の工事列車を運転するときは、車掌は、救援列車又は工事列車の進行してくる方向に対して、停止している列車又は車両から100m以上を隔てた地点で、信号炎管又は手信号による停止信号を現示しなければならない。
- 列248
- 動319
(車両を遺留するときの車掌の乗務方)
第477条 列車が停車場間の途中に停止して、その一部の車両を遺留したままで運転するときは、その列車に車掌は乗務しないものとする。
2 車掌の乗務していない列車は、停車場間の途中に車両を遺留する取扱いをしてはならない。
- 停383
- 踏29
- 列249
- 動320
(信号雷管の装置箇所が停車場内となるときの防護の省略)
第478条 列車防護を行なう場合で信号雷管を装置する箇所が停車場内となるときは、駅長に通告して、その方向に対する防護を省略することができる。
2 前項の規定は、第476条に規定する停止信号についても、これを適用するものとする。
- 踏30
- 列250
- 動321
- 施102
- 雪108
(事故通報のため走行する適任の者の処置)
第479条 故障その他の事由により、停車場間の途中で列車の停止した旨を駅長に通告するために車掌が適任の者を走らせた場合、その者は、停車場に向う途中で列車の進行してくるのを認めたときは、直ちに信号炎管による停止信号を現示した後、信号雷管を装置してその列車を停止させたうえ、機関士に列車の停止している旨を通告しなければならない。
- 列251
- 動322
(後続列車が停止したときの応急処置)
第480条 自動閉そく式により運転している列車が、故障その他の事由により、停車場間の途中に停止した場合、後続列車が更にその後方に停止したときは、車掌及び機関士は、後続列車の車掌及び機関士と打ち合わせたうえ、後続列車と併結するのを原則とする。
- 列252
- 動323
(防護のため停止した列車の再防護)
第481条 自動閉そく式により運転している列車が、特殊信号による停止信号により停止したときは、その後方に対して信号炎管による停止信号を現示しなければならない。この場合、後続列車が停止したことを認めたときは、先行列車の防護者は、その乗務する列車に帰着するものとする。
- 停384
- 列253
- 検47
(列車運転中に過積みの貨車を発見したときの処置)
第482条 中間停車場で組成車両中に貨物の重量が、その貨物車の標記荷重をこえているもののあることを発見したときは、次の各号に定める取扱いによらなければならない。
- (1) 貨物積載量の超過が1トン未満の場合であつて、支障がないと認めたときは、そのまま列車に連結すること。
- (2) 貨物積載量の超過が1トン以上2トン以内であるときは、車両検査掛の検査を受け、その結果運転に支障がないと認めたときは、そのまま列車に連結すること。
- (3) 貨物積載量の超過が2トンをこえるときは、列車から解放すること。
- 停385
- 列253の2
- 動324
- 検48
(脱線車両の検査)
第483条 列車脱線、車両脱線等の事故の生じたときは、脱線した車両は、駅長等(駅長を除く。)又はこれらの命じた者の検査を受けた後でなければ、列車の運転に使用してはならない。
第3節 線路の事故
- 施103
(列車の徐行を通告する場合の防護)
第484条 線路の故障により、列車の徐行を機関士に通告するため列車を停止させるときは、列車の進行してくる方向に対して、列車防護を行なわなければならない。
- 施104
(保線係員及び電気係員が線路の故障を発見したときの処置)
第485条 保線係員又は電気係員が線路の故障を発見したときは、直ちに列車防護を行なつた後、その旨を駅長に通告しなければならない。
- 列254
- 動325
(乗務員が線路の故障を発見したときの処置)
第486条 機関士又は車掌は、列車を運転している途中で動揺その他により線路に異常のあることに気付いた場合又は隣接線路に故障のあることを発見した場合で、これらが列車の運転に支障があると認めたときは、すみやかに列車防護を行なわなければならない。この場合、非自動区間で自己の運転する線路であるときは、機関士は、そのまま列車を運転し、前方停車場の場内信号機の外方にいつたん停止して、この旨を駅長に通告しなければならない。
- 列255
- 動326
- 施105
(列車防護を行なう箇所が停車場内となるときの防護の省略)
第487条 列車防護を行なう箇所が停車場内となるときの防護については、第478条の規定を準用する。
- 停386
- 動327
- 施106
(故障線路の検査)
第488条 線路に故障の生じたときは、次の各号に掲げる係員の検査を受けた後でなければ、その線路を列車又は車両の運転に使用してはならない。
- (1) 線路関係施設に対しては、保線区長、機械軌道区長、管理所長又はこれらの命じた者
- (2) 電力関係施設に対しては、電力支区長、電気支区長、管理所長又はこれらの命じた者
- (3) 信号関係施設に対しては、信号通信支区長、信号支区長、電気支区長、管理所長又はこれらの命じた者
第4節 強風
- 停387
(風速が20m以上となつたときの処置)
第489条 風速計の装置してある停車場の駅長は、風速が毎秒20m以上になつたときは、その状況を鉄道管理局長等に報告しなければならない。
2 風速計の装置してない停車場の駅長は、目測により風速が毎秒20m以上になつたと認めたときは、その状況を鉄道管理局長等に報告しなければならない。
標準14 目測により風速をはかる場合は、次の表のとおりとする。
(注)気象庁風力階級表等を定める件(昭和28年2月運輸省告示第58号)抜すい。
開けた平らな地面から10mの高さにおける相当風速(m/s) | 風力階級 | 説明 | |
---|---|---|---|
陸上 | 海上 | ||
0.0から0.3未満 | 0 | 静穏、煙がまつすぐに昇る。 | 鏡のような海面。 |
0.3以上1.6未満 | 1 | 風向きは、煙がなびくのでわかるが、風見には感じない。 | うろこのようなさざ波ができるが、波がしらにあわはない。 |
1.6以上3.4未満 | 2 | 顔に風を感じる。 木の葉が動く。 風見も動き出す。 | 小波の小さいもので、まだ短いがはつきりしてくる。波がしらはなめらかに見え、砕けていない。 |
3.4以上5.5未満 | 3 | 木の葉や細い小枝がたえず動く。 軽い旗が開く。 | 小波の大きいもの。 波がしらが砕けはじめる。 あわはガラスのように見える。 ところどころ白浪が現れることがある。 |
5.5以上8.0未満 | 4 | 砂ほこりが立ち、紙片が舞い上る。 小枝が動く。 | 波の小さいもので、長くなる。 白波がかなり多くなる。 |
8.0以上10.8未満 | 5 | 葉のあるかん木がゆれはじめる。 池や沼の水面に波がしらが立つ。 | 波の中くらいのもので、一層はつきりして長くなる。 白波がたくさん現われる。 (しぶきが生ずることもある。) |
10.8以上13.9未満 | 6 | 大枝が動く。 電線がなる。 かさはさしにくい。 | 波の大きいものができはじめる。 いたるところで白くあわだつた波がしらの範囲が一層広くなる。 (しぶきを生ずることが多い。) |
13.9以上17.2未満 | 7 | 樹木全体がゆれる。 風に向かつては歩きにくい。 | 波はますます大きくなり、波がしらが砕けて、できた白いあわはすじをひいて風下に吹き流されはじめる。 |
17.2以上20.8未満 | 8 | 小枝が折れる。 風に向かつては歩けない。 | 大波のやや小さいもので長さが長くなる。 波がしらの端は砕けて、水煙となりはじめる。 あわは明りようなすじをひいて風下に吹き流される。 |
20.8以上24.5未満 | 9 | 人家にわずかの損害がおこる。 (煙突が倒れ、かわらがはがれる。) | 大波。あわは濃いすじをひいて風下に吹き流される。 波がしらはのめり、くずれ落ち、さか巻きはじめる。 しぶきのため、視程はそこなわれる。 |
24.5以上28.5未満 | 10 | 陸地の内部ではめずらしい。 樹木が根こそぎになる。 人家に大損害がおこる。 | 波がしらが長くのしかかるような非常に高い大波。 大きなかたまりとなつたあわは、濃い白色のすじをひいて風下に吹き流される。 海面は全体として白く見える。 波のくずれかたは、はげしく衝撃的になる。 視程はそこなわれる。 |
28.5以上32.7未満 | 11 | めつたにおこらない。 広い範囲の破壊を伴なう | 山のように高い大波(中小船舶は、一時波の蔭に見えなくなることもある。)海面は、風下に吹き流された長い白色のあわのかたまりで完全におおわれる。 いたるところで波がしらの端が吹き飛ばされて、水煙となる。 視程はそこなわれる。 |
32.7以上 | 12 | – | 大気はあわとしぶきが充満する。 海面は、吹きとぶしぶきのために完全に白くなる。 視程は、著しくそこなわれる。 |
- 停388
- 動328
(風速が25m以上となつたときの処置)
第490条 駅長は、風速が毎秒25m以上になつたと認めたときは、次の各号に定める取扱いをしなければならない。
- (1) 突風等のために列車の運転が危険であると認めたときは、その状況に応じて、一時、列車の出発又は通過を見合わせること。
- (2) 空車又は軽量で大きな貨物を積載した貨物車は、つとめてこれらを列車に連結しないこと。
- (3) 留置してある車両に対しては、厳重に転動を防止する手配をすること。
- 停389
- 列256
- 動329
(風速が30m以上となつたときの処置)
第491条 鉄道管理局長等は、気象通報又は駅長からの報告により、風速が毎秒30m以上になると認めたときは、一時、列車の運転を見合わせる旨の指令をするものとする。
2 風速が毎秒30m以上になつたと認められる場合で、鉄道管理局長等から指令のないとき又は指令を受けることのできないときは、駅長は、一時、列車の運転を見合わせて、すみやかにその状況を鉄道管理局長等に報告しなければならない。
- 動330
(運転中に強風に遭遇したときの機関士の処置)
第492条 機関士は、列車を運転している途中で強風に遭遇したときは、次の各号に定める取扱いをしなければならない。
- (1) 風速のはげしい箇所は、つとめて列車の速度を変化しないようにし、急にブレーキを緊締しないこと。
- (2) 列車の運転が危険であると認めたときは、つとめて安全な箇所に停止すること。
第5節 濃霧及びふぶき
- 停390
(濃霧及びふぶきの場合の駅長の処置)
第493条 駅長は、濃霧が発生するか若しくはふぶきになつたとき又はそのおそれのあるときは、次の各号に定める取扱いをしなければならない。
- (1) 濃霧又はふぶきの状況を鉄道管理局長等に報告すること。
- (2) 責任者を定めて、特に列車の運転状況を監視させること。
- (3) 閉そくに承認を与えた後は、列車の進路を支障しないこと。
- (4) 急きよ場内信号機に停止信号を現示する必要がある湯合は、場内信号機の外方に信号雷管を装置すること。
- (5) 列車を出発させるときは、その列車に対する出発信号機に進行を指示する信号を現示したことを確かめた後、これを機関士に通告すること。
標準15 濃霧又はふぶきの場合で、急きよ場内信号機に停止信号を現示するときの信号雷管の装置位置は、次のとおりとする。
- (1) 停車場に向つて1,000分の10より急な上りこう配のないときは、場内信号機の外方400m以上の地点
- (2) 停車場に向つて1,000分の10より急な上りこう配のあるときは場内信号機の外方200m以上の地点
- 動331
(濃霧及びふぶきの場合の機関士の処置)
第494条 機関士は、濃霧又はふぶきに遭遇したときは、信号の確認距離の範囲内に停止することができる速度で注意運転をしなければならない。
2 前項の場合、次の各号に定める取扱いをしなければならない。
- (1) 信号機の信号現示を認めることのできないときは、いつたん停止すること。
- (2) 出発信号機の信号現示を認めることのできないときは、駅長からの通告により列車を進行させること。
- (3) 最近の停車場の駅長に濃霧又はふぶきの状況を通告すること。
- 停391
- 列257
- 動332
(濃霧及びふぶきの場合の運転の指令方)
第495条 鉄道管理局長等は、駅長からの報告に基づいて、信号の確認距離が50m以下になつたと認めたときは「列車運転中止」の指令を、その必要のなくなつたときは「解除」の指令をしなければならない。
- 停392
(濃霧及びふぶきの場合の運転に対する駅長の専決施行)
第496条 駅長は、気象の急変により信号の確認距離が50m以下になつたときで、鉄道管理局長等の指令を受けることのできない場合は、相手停車場の駅長と打ち合わせたうえ、列車の運転を中止させることができる。
2 前項の規定により、列車の運転を中止したときは、すみやかにその状況を鉄道管理局長等に報告しなければならない。
第6章 踏切その他
- 停393
- 踏31
- 列258
- 動333
- 施107
- 雪109
(踏切警報機等の故障を発見したときの処置)
第497条 踏切警報機、半自動しや断機、自動しや断機等が故障のため使用することができないことを発見した者は、この旨を直ちに最近の停車場の駅長に通告しなければならない。
2 前項の通告を受けた停車場の駅長は、隣接停車場の駅長及び関係のある保線区長、保線支区長、信号通信指令、信号指令、電気指令又は管理所長にこの旨を通告するとともに、看守人の配置があるまで、その区間に進入させる列車又は車両の機関士にこの旨を通告しなければならない。この場合、停車場を通過すべき列車に対しては、これを停止させて通告しなければならない。
- 動334
- 雪110
(踏切警報機等の故障時の機関士の取扱い)
第498条 機関士は、次の各号の1に該当する場合は、長緩気笛1声の合図を行ないながら、必要に応じ、速度を低下して注意運転をしなければならない。
- (1) 前条第2項の通告を受けた踏切に近づいたとき
- (2) 停車場間の途中から退行して踏切警報機、半自動しや断機、自動しや断機等の設けてある踏切に近づいたとき
- (停394)
- 列259
- 動335
- 誘117
- 検49
- 施108
(車両のとびらの閉鎖方)
第499条 車両を運転するときは、その前に側面又は底部のとびらを閉じなければならない。ただし、とびらが外方に開かないものは、これを閉じないことができる。
- (停395)
- 踏32
- 列260
- 動336
- 誘118
- 検50
- 施109
- 雪111
(建築限界に対する取扱い)
第500条 建築限界内には、物を置いてはならない。ただし、作業に必要のある物で、列車又は車両の運転に支障のないときは、この限りでない。
2 建築限界外であつても、建築限界内にくずれてくるおそれのある物は、これを置いてはならない。
標準16 番線表示標、停車場接近標、徐行解除目標、通票携帯標、信号喚呼位置標、信号警標、力行標、だ行標、列車停止位置目標及び電車線区分標の色彩及び形状は、次のとおりとする。
(器具類の整備)
第501条 機器及び用具類の整備については、この規程の定めによるほか、日本国有鉄道規格によらなければならない。