貨物線2

四日市周辺貨物線4 南四日市駅

いよいよ最終回となった今回は、南四日市駅の調査です。JSR四日市工場専用線と、線路だけが残る三菱化学四日市事業所川尻工場専用線の調査も行いました。

南四日市駅配線略図
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JSR専用線南端 16:20

調査もいよいよ終盤で、暑さと疲労で写真がだんだんと酷くなっていることをご了承下さい。

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塩浜駅から東に向かい、南四日市駅に移動します。ちょうどJSR四日市工場専用線の南端に出たので、柵の隙間から一枚撮影しました。

JSR四日市工場専用線
線路が2線+廃止1線

線路が3線ありますが、うち最右の1線は使われていないようです。後で撮影した反対側の写真では、倉庫の向こう側に車止めが確認できます。最左の線路も錆びていて、荷役に常用されているのは中央の1線のみのようです。

JSRでは合成ゴムや合成樹脂の製造をはじめ、幅広く事業展開していますが、四日市工場で製造しているのは合成ゴムです。専用線からは製品の合成ゴムをコンテナ輸送していて、写真奥にもコンテナ車が1両留置されています。

三菱化学専用線 16:25

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JSR専用線は関西本線の線路の隣に位置していますが、関西本線の線路との間に錆びた線路が1本ありました。南四日市駅接続の専用線はJSR専用線のみのはずですので、気になって線路を南へたどってみました。

河原田駅方に200mほど進むと線路は左に折れ、工場内に吸い込まれていきました。

三菱化学専用線
錆びた線路が工場に入る
三菱化学専用線
振り返って南四日市駅方

こちらが三菱化学四日市事業所川尻工場です。すでに専用線の貨物取扱は廃止されていますが、線路は撤去されていません。それどころか、工場入口の「三菱油化前」踏切は遮断機が撤去されず、レール部の溝も埋められていません。

三菱化学専用線
線路が2線+廃止1線

ただ単に予算などの関係で撤去されていないだけか、はたまた再利用する予定があるのか。興味をひかれます。

JSR専用線北側 16:32

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線路脇の道を戻り、JSR専用線の北側に行きます。この日は貨車の発着が無いため、専用線の入り口は柵で閉ざされていました。しかし、柵のすぐ隣が踏切だったため、かなり至近まで近づくことができました。

JSR四日市工場専用線
構内一望

構内にはコンテナ荷役線が2線、化学薬品輸送用(?)の荷役設備がついた荷役線が1線、留置線が数線あります。JSR専用線には現在コンテナ車のみが乗り入れているので、薬品用の荷役設備は現在は使われていない模様です。

JSR四日市工場専用線
中央がコンテナホーム、左端が薬品荷役線

構内配線はなかなか面白く、ほぼ同じところから分岐して1つの線路に収束する線路が2本あります(ページ上部の配線略図参照)。一見冗長に思える2つの線路ですが、うち専用線入口側の1本は荷役用のフォークリフトが通れるよう併用軌道のような感じになっています。

JSR四日市工場専用線
併用軌道?

90度曲がって工場東側へ消える線路もありますが、カラーコーンで閉鎖されていました。

JSR四日市工場専用線
東側へ延びる線路

工場前の踏切の先で線路は1つにまとまり、三菱化学専用線に合流します。

JSR四日市工場専用線
奥が南四日市駅、左の線路が三菱化学専用線

南四日市駅南側 16:36

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南四日市駅南の踏切にやって来ました。専用線は駅に入るところで脱線ポイントを通過します。スプリングポイントの脱線分岐器は全国でも珍しいようです。ポイントと言っても、クロッシング部すらありませんが……

南四日市駅南側
中央がJSR専用線、右が引上げ線と関西本線
南四日市駅南側
脱線ポイントをアップで

専用線の隣りには引上げ線1線、関西本線の上下本線があります。

南四日市駅南側
中央が引上げ線、右が関西本線の線路

駅の東側には下り副本線1線、留置線6線があります。JSR専用線の入換用スイッチャーやコンテナ車が留置されています。一方、西側は後述する三菱ガス化学専用線に接続されていましたが、専用線の廃止に伴い使用停止されています。

南四日市駅南側
コンテナ車の停まる東側側線
南四日市駅南側
西側側線の線路は錆びている

南四日市駅北側 16:42

南四日市駅北側
西側の側線
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駅の北側に移動します。最東の留置線3本から写真手前に線路が伸びていますが、そこに意味ありげなポイントがあります。駅東側には更地がありますが、このポイントはそこに線路があった名残でしょうか。このように使用しない線路ではわざわざポイントを撤去することもないのでしょう。さて、この線路はどこに繋がっているかというと……

南四日市駅北側
味の素専用線跡

線路はすぐ車止めに突き当たりますが、その先には意味ありげな柵があります。この奥には味の素東海工場があり、その専用線跡と思われます。柵は開閉可能になっているので、現役当時のものでしょうか。味の素というと貨車輸送とは無縁のイメージがありますが、かつてはグルタミン酸ナトリウム、いわゆる「味の素」の原料の塩酸や副産物のアミノ酸などを輸送していたようです。

南四日市駅北側
東側側線が収束

配線の話に戻ると、東側の側線は全て下り副本線に合流します。注目すべきはポイントの内側にある分岐方向表示板です。緑の方向に進路が開通していることを示すこの表示板はJR東海独自のもので、JR貨物が管理している先ほどの側線には設置されていません。

南四日市駅北側
中央が関西本線線路

駅西側にも側線が3本ありますが、前述の通り使用されていません。

南四日市駅北側
西側の側線

側線は三菱ガス化学専用線に繋がっていました。現在は専用線の線路は車止めで寸断されていますが、その先にもレールが残されているのが分かります。車止めの手前にはJSR専用線と同じ脱線ポイントがあります。

南四日市駅北側
右側が関西本線線路、左の線路が三菱ガス化学専用線跡
南四日市駅北側
三菱ガス化学専用線跡

南四日市駅北側跨線橋 16:48

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さらに南へ行き、陸橋の上から三菱ガス化学四日市工場専用線跡を見てみます。

南四日市駅北側跨線橋
三菱ガス化学工場内

手前の無舗装の空き地が線路敷で、そこから柵の中に入り現在の道路となっているところが荷役線でしょうか。専用線が廃止されたのはつい最近のことですが、微妙に曲がった道路以外にその面影はありません。

南四日市駅北側跨線橋
南四日市駅

反対側の南四日市駅を俯瞰します。もはや道路の反対側に渡る気力も無かったので柵が写り込んでしまいました……。しかし、多くの側線が使われていないとはいえ、貨物駅はやはりいいものです。

調査を終えて ~反省~

今回調査した四日市周辺ほど貨物線が密集する地域はそう多くなく、それが今回四日市を訪れた理由でもあります。とはいえ、貨物輸送の自動車化やコンテナ化の波で多くの専用線が廃止されており、このような状態が少しでも長く続くことを祈るばかりです。

心残りだったのが、貨車の入換を余り見れなかったことです。線路の写真ばかりでうんざりした読者の方もいるのではないでしょうか(笑)。配線を調べていると、その線路がどのように使用されているのか気になることも多いです。今後もできる限り貨車の入換は記録していきたいと思います。

※ 写真は全て踏切または公道などから撮影。

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調査日
2013年7月31日
公開日
2014年1月25日
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