輸送管理規程（昭和39年4月1日総裁達第176号）
輸送業務について、安全、正確、迅速及び公平を旨とし、利用者の利便を増進するよう能率的に行なうとともに、経営の向上をはかることを目的として、輸送管理規程を次のように定める。
輸送管理規程
（適用範囲）
第1条 鉄道及び航路による旅客、荷物、郵便物及び貨物の輸送に関する業務については、この規程の定めるところによる。
２ この規程に定めていない事項については、別に定めるものによる。
（注）別に定めるもののおもなものは、次のとおりである。
| 規程名 | 関係事項 |
|---|---|
| 船舶業務管理規定（※作者注：原文ママ）（昭和39年4月総裁達第190号） | 車両航送方及び連絡船運航時刻の設定方 |
（用語の意義）
第2条 この規程における用語の意義は、次の各号に掲げるとおりとする。
- (1) 「総局等」とは総局、首都圏本部及び輸送計画室並びに新潟及広島の各鉄道管理局をいう。
- (2) 「特殊使命貨物列車」とは、特別急行貨物列車、急行貨物列車、地域間急行貨物列車、専用貨物列車、専用普通貨物列車をいう。
- (3) 「旅客車」とは、客車、電車及び気動車をいう。ただし、いずれも荷物を除く。
- (4) 「荷物車」とは、客車、電車及び気動車の荷物車（荷物輸送用として旅客列車又は荷物列車に連結して使用する貨車を含む。）、郵便車及び郵便荷物車をいう。
- (5) 「特殊旅客」とは皇族、国賓及び政府等の賓客並びに駐留軍及び自衛隊の旅客のうち、特殊なものをいう。
- (6) 「特殊小荷物」とは、宮内庁の託送する皇室用小荷物、国賓及び政府等の賓客の手回り品、日本銀行本店の託送する日本銀行券、補助貨幣及び銀塊等をいう。
（輸送改善計画）
第3条 重要な輸送改善の計画は、総裁が決定する。
（列車の区分）
第4条 列車は、旅客列車、荷物列車、混合列車、貨物列車、特殊列車及び単行機関車列車に区分する。
第5条 列車は、その運転期間によって、定期列車、季節列車及び臨時列車に区分する。
（列車の種別）
第6条 旅客列車の種別は、特別急行旅客列車、普通急行旅客列車、普通旅客列車及び回送旅客列車とする。
２ 荷物列車の種別は、急行荷物列車及び普通荷物列車とする。
第7条 貨物列車の種別は、特別急行貨物列車、急行貨物列車、地域間急行貨物列車、専用貨物列車、専用普通貨物列車、小口貨物列車、輸送力貨物列車及び普通貨物列車とする。
第8条 特殊列車の種別は、お召列車、御乗用列車、試運転列車、工事列車、排雪列車、救援列車とする。
（本社設定列車）
第9条 本社設定列車は、次の各号に掲げるとおりとする。
-
(1) 旅客列車
- ア 特別急行旅客列車。ただし、北海道、四国及び九州の各総局管内限りの列車を除く。
- イ 3以上の地区にわたる旅客列車
- ウ 特定線区にかかり、かつ、2地区にわたる普通急行旅客列車
-
(2) 荷物列車
- ア 3以上の地区にわたる荷物列車
- イ 特定線区にかかり、かつ、2以上の地区にわたる荷物列車
-
(3) 貨物列車
- ア 特殊使命貨物列車。（専用普通貨物列車を除く。）ただし、北海道、四国及び九州の各総局管内については、本州に直通する特別急行貨物列車に限る。
- イ 特定線区にかかり、かつ、2以上の地区にわたる貨物列車。ただし、地方的な列車を除く。
２ 本社設定列車に係る輸送の計画は、旅客局長、貨物局長及び運転局長が、それぞれの所掌に基づいて決定する。
（本社承認列車）
第10条 本社承認列車は、前条第1項に規定する列車以外の列車で、特定線区にわたるものとする。
２ 本社承認列車に係る輸送の計画は、旅客局長、貨物局長及び運転局長が、それぞれの所掌に基づいて承認する。ただし、運転期間が1箇月未満の臨時列車を除く。
（お召列車等の運転の計画）
第11条 お召列車、御乗用臨時列車及び特殊旅客に係る列車（臨時列車によるものに限る。）の運転の計画は、運転局長が決定する。
（特定線区）
第12条 特定線区は、次の各号に掲げるとおりとする。
-
(1) 次に掲げる線区
- ア 東海道本線（東京・神戸間、品川・汐留間、品川・鶴見間、大垣・関ケ原間、吹田・梅田間及び吹田・尼崎間に限る。）
- イ 北陸本線（米原・直江津間に限る。）
- ウ 中央本線（新宿・塩尻間に限る。）
- エ 篠ノ井線（塩尻・松本間に限る。）
- オ 山陽本線（神戸・門司間に限る。）
- カ 東北本線（上野・尾久・青森間及び田端操・赤羽間に限る。）
- キ 山手線
- ク 常磐線（日暮里・岩沼間及び田端操・三河島間に限る。）
- ケ 高崎線
- コ 上越線
- サ 奥羽本線（福島・青森間及び津軽新城・東青森間に限る。）
- シ 羽越本線（新津・秋田間に限る。）
- ス 信越本線（高崎・新潟間に限る。）
- セ 鹿児島本線（門司・博多間に限る。）
- ソ 青森・函館間航路
- タ 宇野・高松間航路
- (2) 必要のつど、総裁が指定する線区
（車両の配属）
第13条 車両の総局等別配属（転属を含む。）両数は、営業用客車、営業用専属貨車及び車掌車にあっては、検査予備両数を除き、旅客局長及び貨物局長が、それぞれの所掌に基づいて、営業用客車、営業用専属貨車及び車掌車の検査予備両数並びにその他の車両（営業用貨車及び建設工事用貨車を除く。）にあっては運転局長が決定する。
２ 建設工事用の貨車の配属（北海道総局（本局の直轄地域に係るものに限る。）、四国総局、鉄道管理局及び工事局別）両数は建設局長又は山陽新幹線建設部長が決定する。
（車両の使用）
第14条 本社設定列車に使用する旅客車及び荷物車の車種・形式（構造物に限る。）並びに客車の運用方は、旅客局長が、電車及び気動車の形式（構造別を除く。）、機関車の車種、形式並びに機関車、電車及び気動車の運用方は運転局長が決定する。
（輸送制限及びう回輸送）
第15条 天災、事故等の理由により、正常な輸送が阻害された場合又はそのおそれのある場合における全社的な輸送制限の発動又は解除は、旅客局長及び貨物局長が、それぞれの所掌に基づき決定する。
２ 全国的な手配を必要とするう回輸送等に係る輸送の計画は、旅客局長、貨物局長及び運転局長が、それぞれの所掌に基づいて決定する。
（旅客及び荷物輸送等）
第16条 次の各号に掲げる事項は、旅客局長が行なう。
- (1) 特殊旅客の輸送の計画の決定
- (2) 特別急行旅客列車及び3以上の地区にわたる普通急行旅客列車の途中給水方（飲料水及び飲料水冷却用氷を含む。）及び旅客車用くずもの入れの運用方の決定。
- (3) 本社設定列車のうち、指定制により輸送する列車又は旅客車並びに指定座席及び寝台の総局等別配分（船便を含む。）の決定。
- (4) 旅客車用品のリネンサプライの実施の承認。
- (5) 新聞紙輸送について、特別急行旅客列車及び普通急行旅客列車による場合の列車の指定、積載区間及び積載方並びに新聞紙専用の荷物車の連結列車、車種、両数、連結位置及び積載方の承認。
- (6) 特別扱雑誌の輸送列車及び輸送区間並びに輸送車両の車種、両数及び運用方の承認。
- (7) 特殊小荷物の輸送列車及び輸送区間並びに輸送車両の車種、運用方及び積載方の決定。
- (8) 本社設定列車に連結する荷物車及び特定線区を2以上の地区にわたり運用する荷物車の積載方並びに荷物輸送用パレットのとう載方の決定。
- (9) 郵便車の連結列車、運行区間、車種、両数、連結位置及び運用方の決定。
- (10) 託送郵便物のうち、特別急行旅客列車及び普通急行旅客列車による場合の輸送列車、積載区間及び輸送方の承認。
- (11) 荷物輸送用パレットの総局等別受持両数及び本社設定列車に係る荷物輸送用パレットの運用計画の決定。
第17条 （削除）
（貨物輸送）
第18条 次の各号に掲げる事項は、貨物局長が決定する。
- (1) 本社設定列車（貨物列車に限る。）の組成内容
- (2) 総局等別の貨車及びコンテナの運用計画
- (3) 総局等別の貨車用シート・ロープの運用計画
- (4) 列車指定の取扱いを行なう輸送列車又は連絡船
- (5) 発着区間が3以上の地区にわたる運送経路の指定
- (6) 国鉄の都合による列車又は連絡船の指定で、発着区間が3以上の支社にわたるもの
（運転用燃料の補給）
第19条 本社設定列車への運転用燃料の補給箇所は、運転局長が決定する。
（列車乗務員の乗務行路）
第20条 2以上の地区にまたがる列車に乗務する列車乗務員（専務車掌(A)、専務車掌(B)、乗務指導掛及び乗務掛に限る。）の乗務行路については、旅客局長がその受持支社を決定する。
（動力車乗務員の乗務行路）
第21条 本社設定列車に乗務する動力車乗務員の乗務行路については、運転局長がその受持総局等を決定する。
（指令の設置）
第22条 本社、総局、首都圏本部、輸送計画室及び鉄道管理局に、必要により、旅客指令、荷物指令及び配車指令並びに列車指令、機関車指令及び電車指令を置くものとする。
（指令従業員（※作者注：原文ママ）の業務）
第23条 前条の各指令に従事する職員は、所属長に代わってその名をもって、関係の機関に対し、第24条又は第25条に規定する業務について必要な指示又は命令を行なう。
（旅客指令従事員等の業務）
第24条 旅客指令に従事する職員は、次の各号に掲げる業務を行なう。
- (1) 旅客の日常の輸送手配
- (2) 客車及び旅客車用品の日常の運用及び輸送手配
- (3) 荷物指令の業務（荷物指令を置かない場合に限る。）
（荷物指令従事員の業務）
２ 荷物指令に従事する職員は、次の各号に掲げる業務を行なう。
- (1) 荷物の日常輸送手配
- (2) 荷物車（電車及び気動車を除く。）の日常の運用及び輸送手配
- (3) 荷物輸送用パレットの日常の運用及び輸送手配
（配車指令従事員の業務）
３ 配車指令に従事する職員は、次の各号に掲げる業務を行なう。
- (1) 貨物の日常輸送手配
- (2) 貨車、コンテナ及び貨車用シート・ロープ等の日常の運用及び輸送手配
（列車指令従事員等の業務）
第25条 列車指令に従事する職員は、次の各号に掲げる業務を行なう。
- (1) 列車の日常の運転整理
- (2) 列車の日常の運転手配
- (3) 機関車指令の業務（機関車指令を置かない場合に限る。）
- (4) 電車指令の業務（機関車指令及び電車指令を置かない場合に限る。）
２ 機関車指令に従事する職員は、次の各号に掲げる業務を行なう。
- (1) 機関車及び気動車並びにこれらの乗務員の日常の運用手配
- (2) 電車指令の業務（電車指令を置かない場合に限る。）
３ 電車指令に従事する職員は、次の各号に掲げる業務を行なう。
- (1) 電車及び電車乗務員の日常の運用手配
- (2) 機関車及び機関車乗務員の日常の運用手配（新幹線総局の電車指令に限る。）
（基準規程の制定等）
第26条 旅客局長は、次の各号に掲げる基準規程を制定しなければならない。
- (1) 列車乗務員運用基準規程（列車乗務員の運用の決定方及び乗務成績報告の種類、様式、取扱方に関する基準）
- (2) 旅客輸送基準規程（旅客輸送計画の策定方、旅客の輸送方、客車の使用及び運用方、事故情報、事故手配並びに旅客指令の指定方、職務内容及び業務に関する基準）
- (3) 荷物輸送基準規程（荷物輸送計画の策定方、荷物の輸送方、輸送経路の決定方及び中継方、荷物車の運用方、荷物輸送用パレットの運用方、事故時における荷物の取扱方並びに荷物指令の指定方、職務内容及び業務の執行方に関する基準）
- (4) 旅客輸送統計報告等基準規程（旅客輸送業務に係る統計報告類の種類、様式、取扱方等に関する基準）
- (5) 荷物輸送統計報告等基準規程（荷物輸送業務に係る統計報告類の種類、様式、取扱方等に関する基準）
- (6) 荷物輸送用パレット修理基準規程（荷物輸送用パレットの修理の取扱方に関する基準）
２ 貨物局長は、次の各号に掲げる基準規程を制定しなければならない。
- (1) 貨物輸送基準規程（貨物輸送の策定方、貨車の車票、表示票、配車方及び輸送方、貨車及びシート・ロープの運用方、小口貨物の輸送方及び中継方、配車指令の指定方、職務内容及び業務の執行方並びに車馬輸送用具及び荷役用器具類の使用方及び取扱方に関する基準）
- (2) 削除
- (3) 貨物緩急車運用基準規程（貨物緩急車の運用方及び取扱方に関する基準）
- (4) 削除
- (5) 貨車輸送統計報告等基準規程（貨物輸送業務に係る帳票及び統計報告類の種類、様式、取扱方等に関する基準）
第27条 運転局長は、次の各号に掲げる基準規程を制定しなければならない。
- (1) 列車設定基準規程（列車種別の分類、列車の設定方、列車番号のつけ方並びに列車運転時刻表及び列車ダイヤの調整方に関する基準）
- (2) 列車計画基準規程（列車計画及び時刻の改正の取扱方、季節列車及び臨時列車の運転の計画及び決定方並びに運転時刻の変更に関する基準）
- (3) 列車計画統計報告等基準規程（列車計画資料の整備及び報告についての種類、様式、作成方及び報告方に関する基準）
- (4) 構内作業計画基準規程（構内作業計画の策定方、構内作業の調査方及び構内作業ダイヤの調製方に関する基準）
- (5) 速度定数査定基準規程（列車の運転性能の査定方、速度の種別及び適用方、けん引定数及び基準運転時分の査定及び取扱方、運転性能曲線の調整方並びに速度定数計画に係る資料の整備及び報告方に関する基準）
- (6) 特殊貨物等輸送検査基準規程（かつ大貨物及び特殊車両の輸送検査の取扱方、運転禁止及び取扱制限並び（※作者注：原文ママ）取扱事故及び応急処置に関する基準）
- (7) 運転統計報告等基準規程（運転統計に係る統計報告類の種類、様式、取扱方等に関する基準）
- (8) 運転用動力取扱基準規程（運転用動力の使用計画、使用成績報告に関する基準）
- (9) 車両配属等取扱基準規程（車両の配属、配置並びに部内貸借の手続に関する基準）
- (10) 車両使用統計報告等基準規程（車両の使用の業務に係る統計報告類の種類、様式、取扱方等に関する基準）
- (11) 機関車運用計画基準規程（機関車運用の決定方に関する基準）
- (12) 電車及び気動車運用計画基準規程（電車及び気動車の運用及び編成の決定方に関する基準）
- (13) 動力車乗務員運用基準規程（動力車乗務員の運用計画の策定方及び運用の決定方に関する基準）
- (14) 列車指令業務基準規程（列車指令の指定方、職務内容及び業務の執行方に関する基準）
- (15) 機関車及び電車指令業務基準規程（機関車及び電車指令員の職務及び執務方に関する基準）
第28条 旅客局長及び運転局長は、次の各号に掲げる基準規程を制定しなければならない。
旅客車整備基準規程（旅客車の車内設備、用品及び給水方に関する基準）
旅客車整備基準規程（旅客車の車内設備、用品及び給水方に関する基準）
第29条 旅客局長は、次の各号に掲げる標準を定めることができる。
- (1) 旅客列車及び荷物列車の列車種別に関する標準
- (2) 旅客列車及び荷物列車の編成方に関する標準
- (3) 旅客及び荷物輸送の取扱方並びに旅客列車及び荷物列車の停車時分に関する標準
- (4) 客車（荷物車を含む。）の運用番号及び輸送番号のつけ方に関する標準
- (5) 荷物締切貨車の輸送番号のつけ方に関する標準
- (6) 旅客車用品のリネンサプライに関する標準
２ 貨物局長は、次の各号に掲げる標準を定めることができる。
貨車の取扱方に関する標準
貨車の取扱方に関する標準
第30条 運転局長は、次の各号に掲げる標準を定めることができる。
- (1) 列車番号のつけ方に関する標準
- (2) 列車の運転計画等に関する標準
- (3) 時刻改正の際の列車の移り替り方に関する標準
- (4) 列車種別に関する標準
- (5) お召列車の運転の取扱方に関する標準
- (6) 基準運転時分及びけん引定数の査定に関する標準
- (7) 機関車及び気動車の運用に関する標準
- (8) 動力車乗務員の運用に関する標準
- (9) 動力車乗務員の執務方に関する標準
- (10) 特殊貨物の積付方及び輸送検査に関する標準
附則
１ この達は、別に定める日から施行する。（昭和41年3月総裁達第154号で昭和41年4月から施行）
２ この達施行の際現に設定されている列車についてはこの達の定めるところにより設定されたものとみなす。