統合の噂も囁かれる秋田総合車両センター・秋田車両センターへ行ってみました。
目次 Googleマップで地図を見る
秋田総合車両センターと秋田車両センター 秋田周辺には、よく似た名前の車両基地が2つあります。1つは「秋田総合車両センター」で、こちらは旧国鉄の土崎工場がもとになっており、JR東日本の車両の解体検査や改造を行っています。主に秋田周辺の車両基地に所属する電車、気動車のほか、JR東日本に所属するすべての電気機関車・ディーゼル機関車の検査を行っているようです。また、車両の改造も行っており、近年では中央・総武各駅停車から転用されるE231系などを手掛けています。
一方、秋田車両センターは旧国鉄の南秋田運転所を引き継いでおり、秋田新幹線用E3系、奥羽本線・羽越本線・田沢湖線用701系交流電車や男鹿線・五能線用ディーゼルカーが所属しそれらの日常の保守点検を行っている車両基地です。両者は名称が酷似していて混同されることもありますが、別組織とされています。
JR東日本では、郡山や長野のように隣接する工場と車両基地は「総合車両センター」として統合することが多く、所属車両のない総合車両センターは秋田が唯一となっています。このように秋田総合車両センター・秋田車両センターを別組織として並立させている理由は不明です。
Go To トラベルについて さて、今回の調査旅行は政府の観光振興キャンペーンであるGo To トラベル を利用しましたので、ちょっとだけ感想を共有させていただきます。Go To トラベルは、国内旅行を行った場合に代金の50%を政府が補助する事業です(35%現金値引+15%地域共通クーポン)。ところで、いつも通り予約サイトで宿の予約、駅で往復のJRの切符を購入した場合にはGo To トラベルは宿泊料金にしか適用されませんが、往復のJR線も適用可能にする裏技があります。それが、旅行会社の
JR宿泊セットプラン
を利用する方法です。
結論から申し上げると、申込手続きが面倒だったり旅程に制約があったりという問題があり、Go To トラベルの割引がなければとてもおすすめできるものではありません。ただ、特に往復で新幹線を使用する場合は割引額が大きく増える可能性がありますので、旅行に行かれる方は利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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今回日本旅行のJRセットプランを利用してみて、メリットとデメリットをまとめます。
メリット 往復のJR線も含めてキャンペーンの対象となる(唯一) デメリット 操作が若干面倒。「えきねっと」とどっこいどっこい。 往復同一行程でなければ予約できず、場合によっては選択可能な列車に制限がある可能性もあります。複数人の旅行で出発地が異なる場合も部屋が分かれる等の問題が発生します。(webではなく店頭で申し込めば柔軟にプランが組めるかもしれませんが未確認です) 旅行会社と提携している宿しか予約できません。 繁忙期は複数人以上でしか使用できません。 申込には期限があります。日本旅行の場合は原則3日前の12時です。 通常のJR券と異なり、往復の切符は列車変更ができません。また乗り遅れの際に乗車券分含め無効となることがあります。 このようにデメリットばかりのJRセットプランですが、それほど複雑な旅程でなければ乗り鉄旅行にも使えるのかな、というのが使用した感想でした。
今回使用した日本旅行のJRセットプランを例にとると、で日程・目的地から宿とプランを選択し、その後列車を選びます。同じ宿でもいくつかのプランがあり、プランによっては謎のエラーメッセージで申込できない場合があるのでいくつか試してみましょう(笑)。
Go To トラベルの50%補助のうち、35%割引は予約した段階で適用されます。残りの15%は、旅行先の都道府県とそれに隣接する都道府県で使える地域共通クーポン で還元されます。クーポンは紙と電子クーポン(スマホで表示可能)の2種類あり、どちらが付与されるかは旅行会社によって異なります。日本旅行は電子クーポンでした。クーポンが使える店は専用サイトにて検索 できますが、店によっては紙クーポンしか使えなかったりするので事前に確認が必要です。
ファミリーマートや駅のみどりの窓口など紙クーポンを取り扱っている事業者は多いのですが、電子クーポンを扱っているところはそれほど多くなく、今回は駅ナカの土産物屋などで使用しました。
秋田総合車両センター さて、新幹線に乗ってはるばる秋田総合車両センターにやって来ました。秋田総合車両センターは土崎駅から十数分ほど秋田駅方面へ歩いた場所にある踏切から観察することができます。
総合車両センター構内と土崎駅を結ぶ連絡線が試運転線を兼ねていて、そこから引上線を介して工場構内へ出入りする配線になっています。歴史ある工場だけに、構内の建屋は年季が入ったものばかりです。
試運転線と土崎駅構内、試運転線とセンター構内はそれぞれセクションにより電気的に分離されているようです。秋田総合車両センターでは直流・交直流電気機関車も検査するので直流の試運転設備も存在するような気がするのですが、敷地外から見える範囲では確認できませんでした。
サイトの趣旨から外れる気もしますが、発見した珍しい車両たちを紹介します。構内の最も手前、試運転線側にはキハ58系ジョイフルトレイン「Kenji」のうち2両と719系秋田車が留置されていました。「Kenji」は2018年9月 、719系は2019年11月 に廃車回送されてきたものですが、いつまでこのまま放置するのでしょうか……。
その奥には、キハ40系クルージングトレインが留置されています。秋田港駅への団体列車などに使用されていたものですが、昨今の事情でクルーズ船の運航が取りやめとなり暇を持て余しているように見えます。
構内の奥側には、元高崎車両センター高崎支所所属で救援車代用だったマニ50 2185が留置されています。こちらは2019年6月 に廃車回送されたものです。
その他、もと八戸線用のキハ40 593、もと中央総武線各駅停車用の6ドア車サハE230-2、全般検査中のED75などが確認できました。キハ40は2019年11月 、E231系は2019年6月 に配給輸送されてきました。
キハ40 593 サハE230-2 ED75 767 ED75 768とキハ40 構内の敷地に余裕があるためか、廃車後もしばらく解体せず保管(放置)されている車両が多いように見受けられます。長野総合車両センターの廃車置き場もそうですが、希少な車両は将来保存の必要が生じた場合に備えて解体せずにおくことがあるのかもしれません。
もちろん、解体作業を全く行っていないわけではないようです。構内にE231系から取り外されたと思われる機器の残骸や不要となった車輪が山のように積まれていました。
※秋田総合車両センター周辺は住宅地となりますので、当サイトを参考にして現地へ行かれる方は周辺にお住いの方の迷惑にならないようにしてください。
秋田車両センター つづいて、「総合」のつかない方の秋田車両センターに来ました。こちらは秋田駅からかなり離れていて、バスを使うのが現実的かと思います。構内中央に歩道付きの陸橋が通っておりそこから安全に構内を観察することができます。
秋田車両センターの特徴は、秋田新幹線用E3系など標準軌の車両と在来線用の狭軌の車両の両方が所属していることです。このため、構内には標準軌の線路と狭軌の線路が仲良く並んでいます。同じ検修用建屋に狭軌と標準軌の線路が乗り入れているのも珍しい光景ではないでしょうか。
さて、秋田車両センターでの目当ては四線軌条 です。四線軌条では標準軌の2本のレールの内側に狭軌の2本のレールが設置されており、標準軌車両の台車交換の際に使われています。JR線上では、ここ秋田車両センターの他には日野駅の鉄道総研実験施設にしか存在しない大変珍しい設備です。
この設備は標準軌区間用の701系が秋田総合車両センターへ入場する際に使用されます。標準軌用701系は通常すべての検査を秋田車両センター構内で行いますが、機器更新や大規模な改造を行う際は台車交換を行ったうえで甲種輸送により秋田総合車両センターへ輸送されることがあるようです。通常は使用する機会がないので、リゾートしらかみの車両が留置されていることが多いようです。
この設備は構内の最も東側の車輪転削設備の奥にあります。陸橋の上からカメラでズームすれば見えるかと思ったのですが……。
見えませんでした……
残念ながら、建屋と雑草で遮られていて四線軌条は見えませんでした。春先など雑草が少ない日であれば見えるかもしれませんが……。
このまま終わらせるのは読者の方に申し訳ないので、参考のため別の機会に奥羽本線の車内から撮影した動画より切り出した四線軌条の画像を掲載しておきます。いつかもう少しきちんとした写真を撮りたいものです……。
このような秋田総合車両センターと秋田車両センターは、統合の噂があるようです。現在秋田総合車両センターで行っている機関車の検査は、事業用機関車の全廃に伴い近いうちに廃止されると見込まれています。電車やディーゼルカーの検査工場として残るのか、はたまた役目を終えて110年余りの歴史に終止符を打つことになってしまうのか、今後の動向が注目されます。
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