浜松駅から西方に進み、東海道新幹線浜松工場と在来線の浜松運輸区、貨物駅の西浜松駅をまわりました。
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浜松運輸区
今回の調査の目的地は新幹線の浜松工場と貨物駅の西浜松駅ですが、その前に色々寄り道することにします。
浜松駅から東海道本線の高架沿いに約20分歩くと、車両基地の浜松運輸区が見えてきます。
浜松運輸区の周囲は高い柵で囲まれています。住宅街に囲まれた車両基地であるということもありますが、東海道新幹線の運行を担うJR東海はテロ対策にかなり敏感な印象があります。
浜松運輸区は東海道本線の車両の留置整備を担当しています。構内には多数の留置線と屋根上機器の点検台が併設された検修線が設けられています。117系や119系の廃車が進んでいた頃は、構内の側線で留置・解体作業が行われていました。
側道を更に進むと、伊場遺跡公園に突き当たります。浜松運輸区の留置線と浜松工場の間に取り残されたように残る公園で、周辺に古代の集落や役所があったらしく、園内に遺跡や復元された竪穴式住居があります。今日はこの公園の中に入ってみることにします。
園内に入ると踏切が見えてきます。遊具のようにも思えますが、どうも様子がおかしい……。
踏切から両方向の線路を見てみます。この線路は浜松運輸区から浜松工場へ至る狭軌の連絡線です。かつて浜松工場が在来線車両の検査を行っていた時代に使われていたものですが、浜松工場が新幹線専門の工場となってから線路が廃止されてしまったようです。工場・運輸区内部の線路はすでに撤去されてしまっていますが、公園内を通る部分のみ保存(放置)されていました。
「危険 高圧電線」の看板が設置されていますが、すでに架線は撤去されています。
公園内を進みます。復元された竪穴式住居などの間に、浜松工場建屋を遠望できます。
浜松保線所
浜松工場の調査の前に隣接する新幹線の保線基地(浜松保線所)を調査することにしました。公道から保線所内を撮影した写真です。
さすが新幹線、ガードが固く全く見ることができません……。この場所は諦め、近くの井戸田第二踏切へ向かうことにします。
この踏切を通るのは西浜松駅(貨物駅、後ほど調査)と浜松保線所を結ぶ非電化狭軌の連絡線です。浜松工場内部の線路とは接続されていないものの、工場方面へ向かう唯一の狭軌線となります。
西浜松駅から東海道新幹線とその工場連絡線をくぐり抜けてきた線路は、緩やかな右カーブを描いて保線所内へ吸い込まれていきます。所内には大型クレーンが設置されており、在来線の貨物列車で運ばれてきたロングレールが取り卸され、新幹線の保線機械に積みかえられます。
レールが錆びているのが気になりますが、レールの鉄道輸送自体はまだ行われているようです。写真右の線路は日本たばこ産業(JT)浜松工場専用線跡で、工場の閉鎖に伴い2014年に廃止されました。
東海道新幹線浜松工場
引き返して、新幹線の浜松工場へ向かいます。周辺のほとんどの場所からは上の写真のようにコンクリートの建物を遠望することしかできませんが、中の線路をよく見ることができる場所があります。
浜松工場西側の道路へ向かいます。この道路には西伊場第一・第二踏切という2つの踏切が横切っていて、踏切から工場構内の線路を見ることができます。西伊場第二踏切は工場のリニューアル工事のため、調査時現在は使用されていないようです。
西伊場第一踏切は浜松工場と東海道新幹線本線を結ぶ連絡線上の踏切で、フル規格の新幹線車両が通過する全国で唯一の踏切として知られています(工場のリニューアルが完成すれば西伊場第二踏切も新幹線車両が通過する踏切となる予定です)。この踏切から新幹線線路へ人が侵入すれば、最悪の場合新幹線の運行が停止してしまいます。テロ対策の意味もあり、踏切は柵などで厳重に警備され工場構内や新幹線方面へ立ち入ることができないようになっています(東京にも同じような踏切があります)。
踏切から新幹線本線方面を見ます。前述の通り浜松工場では在来線車両の検査も行われていたため、写真の線路も途中まで三線軌条になっています。柵の先には先ほどの浜松保線所があり、その向こうに新幹線の線路がありますが、ここからは全く見ることができません。
工場構内です。構内で線路は10本に分かれます。一部の線路は新幹線車両が自走できるように電化されていたり、狭軌の線路が併設(三線軌条)されていたりします。
写真からも確認できますが、工場構内のすべての線路が三線軌条になっているわけではありませんでした。ところどころで三線軌条から標準軌の線路が分岐していたり、三線軌条のうち狭軌のレールだけが行き止まりになっている部分があります。
構内がすべて三線軌条の工場もなかなか見ごたえがありますが、三線軌条と通常の標準機線路が入り乱れているのも魅力的です。
西浜松駅
工場をあとにして西浜松駅へ向かいます。西浜松駅は浜松駅の西方にある貨物駅で、浜松駅の貨物取扱設備を移転して1971年に開業しました。跨線橋から駅構内を見ようとしたのですが、ここで問題が発生。
跨線橋の片側にしか歩道がなかったのです。車道はある程度の交通量があり、歩道のない側の写真撮影は見通しのきく跨線橋頂上部でしかできなくなりました。
また、金網の目が細かく写真を撮影するときに写り込んでしまいます。東海道新幹線も跨ぐ跨線橋なので厳重に囲われているのは当然ではありますが……。
まずは浜松駅側です。先ほど訪れた旅客車両基地の浜松運輸区がありますが、日中のためか車両はほとんどいないようです。
浜松運輸区の東海道本線を挟んだ反対側には西浜松駅のコンテナホームがあります。荷役線5線にくわえて数本の留置線があるようです。
跨線橋の高塚駅側です。こちらには西浜松駅の着発線が設けられています。列車本数の多い東海道本線の途中駅ということもあって、上り着発線とコンテナホームを結ぶ通路線は本線と立体交差しています。
上り着発線は7本ありますが、一部に有効長の短いものがあるようです。浜松運輸区への通路線もあるようです。
一方の下り着発線です。中央左に上り線への地下通路線が確認できます。
駅西側の跨線橋に移動しました。この付近で下り着発線は引上線へ収束します。写真左の錆びたレールは仕訳線のようです。
上り着発線です。右側でコンテナホームからの地下通路線が地上へ戻ってきます。
最初は浜松駅から出発しましたが、この踏切は高塚駅のすぐ脇にあります。まるまる1駅、5kmを歩く調査になりました。