影森駅 11:11
秩父鉄道のホームに降り立つと、なんとも魅力的な線路が広がっています。これだけ本数があれば、配線図の書きがいがあるというもの。まずは御花畑側の踏切から見てみることにします。
踏切に移動すると構内をよく見渡せました。
たまらないですね。構内東側(写真左側)には貨物側線が8線あります。現在は左側の数本を中心に石灰石列車の発着に使われているようです。西側(写真右側)の側線2本は旅客電車の留置に使われている模様ですが、小口扱い貨物の荷役線だったのは一目瞭然です。
反対側を見ると、シーサスの先に安全側線。一見無意味な設備のように見えますが、手前2線の両方に安全側線を設置したのとほぼ同じ効果が期待できる配線です。貨車操車場など安全側線を設けるのに十分なスペースがない箇所でよくみられます。
とはいえ、写真を見る限り用地不足とはとうてい思えません。専用側線か何かの跡かとも思いましたが、それらしい痕跡はありませんでした。
踏切を渡り、駅の西を回って浦山口側へ向かいます。駅裏には昭和電工の倉庫が。なんだか貨物扱いの匂いがしますね。
西側に回ってびっくり。昭和電工の荷役線が草に埋もれてそのまま残っています。JRであればとっくに撤去しているでしょうが、さすが秩父鉄道。
なお、Wikipediaは駅南方に位置する昭和電工秩父事業所からこの倉庫まで軽便鉄道が通っていたことに言及しています。この踏切を通る道路はいかにも鉄道らしいカーブを描いており、おそらくは軽便鉄道の跡地を転用したものでしょう。写真を取り忘れたのが悔やまれます。
構内の配線を詳しく見てみましょう。手前に延びる線路が3本あり、右からそれぞれセメント専用線、武甲線(廃線)、秩父線浦山口方面に繋がっています。
7本ある貨物側線のうち、右側3本はセメント専用線に収束しています。専用線からは現在でも石灰石が発送されているため、線路は光っています。なぜ今日は貨物列車が停まっていないのでしょうね……。
残りの4線は武甲線跡と秩父線浦山口方面に接続しています。両線とも貨物列車は1980年代に廃止されていて、こちらの側線は使用されていません。……ということは1980年代以降全く配線変更をしていないということでしょうか?
振り返って浦山口方を見てみます。片渡りの先に線路が3本延びています。右がセメント専用線、中央が武甲線、左が秩父線浦山口方面です。武甲線の廃止前は、このようなのどかな場所に3線区間があったということになります。高度成長期のコンクリート需要を支えるため、ここから大量の石灰石が発送されてきたのでしょう。