はじめに
JR東日本が進めている架線撤去について、以前2022年3月ダイヤ改正にて磐越西線会津若松~喜多方間で電車運転が廃止される旨の記事を書きました。
最近、磐越西線のほかにも本線上の架線が撤去された事例を確認し、興味深い事例なので記事で紹介することにしました。
JR東日本が進めている架線撤去について、以前2022年3月ダイヤ改正にて磐越西線会津若松~喜多方間で電車運転が廃止される旨の記事を書きました。
最近、磐越西線のほかにも本線上の架線が撤去された事例を確認し、興味深い事例なので記事で紹介することにしました。
八高線と高崎線は時刻表上では倉賀野駅で分岐することになっていますが、実際には北藤岡~倉賀野間で線路を共用しています。このため、北藤岡駅は八高線と高崎線との事実上の分岐駅となっています。ただし、ホームは八高線側にのみ設置されており、高崎線は全列車が通過します。
当駅では、複線の高崎線から単線の八高線が分岐しています。八高線の上り列車と高崎線の下り列車が平面交差する構造であり、八高線上り列車が高崎線の本線上で信号待ちをして後続の電車に影響するのを防ぐために上下本線間に中線が設けられています。この中線が、つい最近まで電化されていました。この中線に入線するのは全て八高線の気動車であり、正直存在意義が良く分からなかった電化設備です。かつて分岐器の切り替えを手動で行った時代は、万一電車を中線に入線させてしまってもパンタグラフが架線から外れる事故になるのを防ぐ、という意味があったのかもしれませんが……。
この北藤岡駅の中線の架線が、最近になって撤去されたのを確認しました。
YouTubeにアップロードされている前面展望を見る限り、少なくとも2021年夏頃までは架線が残っていたようなので秋~冬にかけて撤去されたものとみられます。時期が時期だけに、最近JR東日本が進めている架線撤去・設備簡素化と無関係ではないと思います。ただ、元々何のためにあったのかわからないような設備であり、撤去しても日常の列車運行には全く支障がありません。異常時の折り返しなどで使用できそうにも思えないので、利用者にとって不利益になるようなことは特になさそうです。
「合理化」というと、駅の時計や掲示時刻表の撤去ように経費削減と利用客の利便性のトレードオフのような事例も多くなってしまいますが、このような明らかな不要設備の撤去についてはどんどん推進してもらいたいものです。
2022年3月12日追記:2016年頃、電気機関車牽引の貨物列車が誤って中線に入線する事象があったという噂があります(明確なソースなし)。もし中線の架線が撤去された現在このような事象があった場合にはパンタグラフが架線から外れてしまう事故のおそれがあり、もしかすると保安設備面で何らかの対策が取られたうえでの今回の措置かもしれません。
ちなみに、岡部駅・吹上駅の上り線側側線でも架線撤去を確認しました。岡部駅の線路はかつてJX日鉱日石エネルギー岡部油槽所専用線で貨物取扱があった際に貨物列車の発着で使用されていたのかもしれませんが、油槽所は2012年に廃止され、現在では保守用車の留置などに使用されています。高崎線だけでも3駅の架線撤去があったことになり、もしかすると他の多数の駅でも設備の簡素化が進んでいるのかもしれません。
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