【悲報】JR九州、転轍機標識を廃止か

【悲報】JR九州、転轍機標識を廃止か

はじめに

転轍機標識は、分岐器の転轍機に表示される標識の一種でその転轍機の開通方向を表示しています。

転てつ器標識の表示の方式、色彩及び形状
旧国鉄運転取扱基準規程(1972年)

この標識は全ての転轍機に設置されているわけではなく必要な場合にのみ設置することとされており、旧国鉄時代のルールでは次のような場合に設置することとされていました。

  1. (1) 本線及び必要と認めた側線にある普通転てつ器。ただし、第1種連動装置又はてこ集中装置となつているもの及び常時鎖錠してある転てつ器には設けない。
  2. (2) 発条転てつ器
  3. (3) 乗越し転てつ器及び脱線転てつ器
  4. (4) 普通転てつ器と他の識標付転てつ器とが双動になつているものに対しては、転てつ器識標を設けない。(※作者注:「識標」は「標識」の誤植と思われる)
『運転取扱基準規程逐条解説』伊多波美智夫著(日本鉄道図書)より

CTC設置線区が増加したことなどの影響により転轍機標識の数も減少していますが、現在でもスプリングポイント、乗越しポイントにはほぼ必ず転轍機標識を設置するという運用がほとんどの鉄道会社で行われています。スプリングポイントを設けた分岐器を通過する際は一見開通していないように見える分岐器を通過することになり、また乗越しポイントの定位側に不用意に列車を進入させると脱線の危険があるので、混乱を避けるために通常の分岐器と異なることを示しているのだと推察します。

三陸鉄道小本駅
三陸鉄道小本駅
平成筑豊鉄道田川線
平成筑豊鉄道田川線
津軽鉄道線津軽五所川原駅
津軽鉄道線津軽五所川原駅

ところが、2022年頃より、JR九州管内でスプリングポイント・安全側線の転轍機標識を撤去する動きがみられています。以下詳細をご報告します。

転轍機標識の撤去

「撤去」といっても、転轍機標識の装置一式が撤去されたわけではありません。いずれの転轍機も、十字型に取り付けられた矢羽根の表示板が取り外されたうえで上部の表示燈は黒いカバーで覆われた状態となっています。矢羽根の中心にある棒は存置されていますので、矢羽根の青と白や黄色と黒などの塗装の一部が棒に残っている箇所もあります。

この措置がいつから行われているのか不明ですが、三角線住吉駅近くの踏切のストリートビューには、2021年12月時点で存在していた転轍機標識が2022年8月現在撤去されていることが分かりますのでそのくらいの時期であると思われます。

大村線竹松駅
大村線竹松駅
指宿枕崎線中名駅
指宿枕崎線中名駅

運転士は担当区間のすべての分岐器がスプリングポイントであるかどうかを暗記しているはずなのでこれでも問題ないのでしょうが、この変更は配線鉄には大問題です。ある分岐器にスプリングポイントが設けられているかどうか、実際に列車がポイントを割り出して運行しているのを確認しなければ確認のしようがない訳ですので……。

今後、同様の措置をとる鉄道会社が増えないことを祈るばかりです。

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